理論が先か結果が先か医療業界の歩みからみる治療の進歩とは

こんにちは。天候が不安定な日が多いですが、体調はいかがでしょうか。

天候や気圧の変化によって古傷が痛んだり、節々がなんとなく痛い、身体がこわばるというような症状が出ることを俗に「気象病」や「お天気病」といいます。

自律神経系の影響や気圧の変化、リンパの反応などいろいろな原因が言われていますが、これを証明するような確固たる原因は特定されていません。

現代医学でもよくわからないということです。

実は病院に行けばなんでもわかると思っている方も多いかもしれませんが現代医学でも良くわからないことの方がむしろ多いと思います。

過去に医学の世界では森鴎外と高木兼寛(たかぎかねひろ)との『脚気の論争』がありました。

患者さんに膝を打腱器で膝のお皿の下を叩いて膝から下が持ち上がる反射を確認する検査をすると

「わたし。。脚気ですかね。。」と言われる方が多いので脚気の名前は聞いたことがある方は多いと思います。

脚気は今ではビタミンB1の欠乏によるものだということは医療業界ではあたりまえになっていますが当時は違いました。

陸軍医師であった森鴎外は脚気が感染症によるものだと「理論的に」推論して、海軍医師である高木兼寛は栄養説。つまり栄養の欠乏が原因ではないかという説をとりました。

そう考えた高木は海軍兵に栄養補給の為白米ではなく麦飯を食べさせることを勧めます。

麦飯を食べた海軍兵からは脚気は激減しました。

しかし、感染症が脚気の原因であると信じていた森鴎外の説をとった陸軍は日清戦争で4000人、日露戦争で28000人の脚気による死者を出してしまったということがありました。

だから森鴎外が悪いというわけではありません。

それは今までの理論にのっとったある一方では正当な考え方でもあります。きっと当時の患者さんもその説明を聞いていたら間違いなく感染症が原因だと思っていたかもしれません。

当時ビタミンが発見されていなかった日本では「理論的に」脚気がビタミン不足で起きる理屈が説明されていませんでした。

なので理論的には高木説も説得力に欠けていたでしょうし、当時は感染症が原因だと思っていた医師も数多くいました。

こうなるはずだからという理屈が先に立つ議論の仕方を『演繹法(えんえきほう)』

こういう事実があるのだからそれに合致する理論はこうなんじゃないかという考え方を『帰納法』

と言います。

絶対的ではありませんが理論から考えるよりも現象や事実があって、そののちに現象や事実を説明する理論が構築されることはどの分野においても往々にしてあります。

実際にヘルニアだから、脊柱管狭窄症だから、歳だから痛みやしびれはしょうがないといわれても鍼灸やカイロプラクティック、オステオパシーなどの施療をうけたら痛みやしびれがなくなったという方はたくさんいらっしゃいるのではないでしょうか。

画像所見ではヘルニアの神経圧迫部位の状態はかわっていなくても、狭窄している部位が変化していなくても若返りの秘法で若返っていなくても症状は変わっているのです。

癌が食事療法や漢方で治ったり、イメージ療法で治ったというかたもいらっしゃいます。
現在わかっていることの中からでは説明できないことがたくさんあります。

しかし理論的に説明できないから正しくないとはいえません。

だからそれがアヤシイとかオカシイだけではなくその人の状態にとっては何らかの効能があったのでなにがよかったのかを考えることが大切だと思います。

もちろん理論が無意味というわけではなく先人の方々の知恵は大切です。
既存の検査などはした上でその中でもどうしても合致しないことは検証していかないといけないと思います。

今の当たり前が50年後の当たり前とは確実に違うし、もし何も変わらなければ医療の進歩はなかったといえると思います。

森鴎外の論理的に考える演繹法だけでは臨床における可能性は狭められてしまうし
高木兼寛の帰納的な思考だけだと、やってみて良かったからそれでOKと積み重ねができないので両方が必要になってくると思います。

また、一面的ではなくより多面的な視点が必要になります。
生理学的、生体力学、流体力学、量子学、栄養学、心理学、東洋医学。。。とか色んな側面からみたとき思いもしない変化があるかもしれません。

そんなグレーゾーンのなかでもがいているのが臨床家だと思います。
そこが楽しさでもありますがまだまだ勉強不足です。

白黒つけられず釈然としないところでもありますがこれが1つの糸口になり可能性の一端になります。

ようは良い意味でも、悪い意味でも絶対はないということです。

今日は完全な独り言になってしいましたが最後までブログを読んでいただいた方がいらっしゃいましたらありがとうございました。

もりぞうでした(・◇・)ゞ
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