「手は心の道具である」スキンシップが子供の感性を育てる

触れるということを普段から意識している人はあまりいないと思います。

アメリカの発達心理学者ハーロー(1905-81)は生まれたばかりの子ザルを育てる檻の中に、

針金でできた母親の模型と、

同型だけど針金の上から毛布を巻いた模型の2体を入れました。

すると子ザルは毛布を巻いた母親の模型から片時も離れなかったそうです。

子ザルは養育者との温かくやわらかな肌の触れ合いを必要としているのです。

それがないと情緒不安定になって問題行動を起こすほどです。

実は皮膚へのやさしい刺激が情緒を安定させ、ストレス耐性を高める効果があることはかなり前のネズミの実験からわかっていたそうです。

この対照的な例として、虐待の場合はどうでしょう。

虐待も暴力による『身体的虐待』と全く触れない『ネグレクト』があります。

アメリカの心理学者エレスは子ネズミを4つのグループに分け、

第1群 やさしく愛撫

第2群 乱暴に触れる

第3群 それらを交互に繰り返しながら

第4群 全く触れない

で育ててみました。

もちろん第1群のネズミの状態が一番良い。2番目は第3群。

第2群と3群は情緒的な発達を比較すると

むしろ第4群に有害な影響が認められました。

生存と本能に関わる原始感覚系である皮膚感覚は、延髄網様体などを経て大脳辺縁系の視床などの情動を起こす部位に伝わります。

この部位は快適な皮膚感覚受けたときにもっとも適切に発達するのですが、

乱暴に扱われて不快な皮膚感覚を受けて育つと歪んだ発達をしてしまい、

全く触れられないで育った場合はこの部位がほとんど発達しません。

人の場合も、身体的に虐待を受けた子どもは情動のコントロールがむずかしく、

すぐにキレやすくなったり、他人と肌を触れ合うことを拒絶する傾向があります。

それに対してネグレクトされた子どもは、

スキンシップの心地よさを知らないために対人感情が育たずに

他人と親密な関係を築くことができなくなる。

また満たされていない依存心を埋め合わせるように逆にやたらと大人たちにべたべた触れてくるようです。

身体的虐待を受けた子どもに対しては、根気よく、温かく、心地よい触れ合いをすることで

触覚的な防衛を外していければ、人との信頼を回復させることが可能だといいます。

しかしネグレクトされた子どもは、対人感情をゼロから育てることから始めなければなりません。

すでに『ある』ものの性質を修正するよりも、

なにも『ない』ところから何かを育てることの方がむずかしいのです。

このことからも幼少期の温かいスキンシップがいかに大切かがわかります。

これは量より質が大切です。

触覚や固有感覚(運動感覚)を幼少期から育むことの大切さを重視し、実践している学校があります。

たとえばドイツの哲学者で神学者でもあったシュタイナー(1861-1925)がつくった学校もその一つです。

子どもの三つのH

Haupt:頭

Herz:心

Hand:手

を育てること、自分の内奥にある欲求に気づき、

それを実践するために自ら行動する人間を育てることを教育方針としています。

また、イタリアの女医だったモンテソーリ(1870-1952)は、

医学と教育を融合させる必要性を痛感して自ら幼稚園をつくりました。

そこでは「手は心の道具である」として触覚ををはじめとする様々な感覚を育てることを重視しました。

2人の教育の先達者に共通するのは、様々なものに触れて触覚を刺激する、

という教育方針です。

触覚-固有感覚を育むことが感性豊かな心を育て、さらには自律的な心を確立するために必要なことを

長い実践活動から的確に見抜いていたということだということです。

こころは内にあるかもしれないけれど外から育つものと言えます。

触覚とこころの関係も実におもしろいものだと思います。

このことだけでもひとは独りで生きていないということの一端を垣間見たように思いました。

今日も骨格屋のブログを最後まで読んで頂きありがとうございました。

もりぞうでした。
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