~伝統医学アーユルヴェーダ~様々な代替療法の起源を探る

みなさん、こんにちは
西口店の中北です

今回は、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダを紹介します
(聞きなれない言葉が多くて難しいかもしれませんが・・・)

アーユルヴェーダの歴史はとても古く、はるか5000年前から始まったと言われています

かの有名な仏陀の生誕が2500年前なので、相当な歴史があることがわかります

アーユルヴェーダの語源は「生命の科学」という意味のサンスクリット語です

そして「この世とあの世において有益な学問がアーユルヴェーダである」としています

どういうことかというと、アーユルヴェーダでは生命を「肉体、感覚器官、精神、真我(アートマン)からなる」と考えていて、人間単体でなく、宇宙や過去・未来とのつながりなども考慮して、健康や治療を考えていくのです

つまり、生と死の観点から生命を考察し、どうすれば幸福で有益に長寿を生きることができるのかを説いた医哲学なのです

では、アーユルヴェーダでいう健康とはどのような状態なのでしょうか

アーユルヴェーダは、トリ・ドーシャ理論を基本とします

これは、ヴァータ、ピッタ、カパと呼ばれる3種類の生体エネルギー(ドーシャ)のバランスによって健康が左右される、という考えです

この3種類のエネルギーは以下のように分類されます

ヴァータ:風のエネルギー。運動や循環を担う
ピッタ:火のエネルギー。消化や代謝を担う
カパ:水のエネルギー。構造維持を担う

どんな人もこの3つのドーシャによって成り立っていますが、ある人はピッタが優勢で、ある人はカパとヴァータが優勢、というように、一人一人微妙にパワーバランスが違います

ですが、これらのバランスがとれていれば健康で、エネルギーが産生されることによりさらに健康維持・増進が成されます

しかし、これらのバランスが崩れると、代謝や消化が不完全になることで、不完全な代謝産物が生成され、病気へと進んでいってしまいます

バランスが崩れてしまう場合は、どれかのエネルギーが増大していることがほとんどだと考えられています

このトリ・ドーシャのバランスは、大別して5つの因子に影響されます

1.体質:持って生まれた優勢なドーシャによる特徴
2.時間:一日、季節、年齢
3.生活様式や五感からの刺激
4.場所:環境条件
5.天体:太陽、月、他の惑星

これらを考慮しながら、「病気の診断」と「病人の診断」をして、治療を行っていきます

アーユルヴェーダの医師は「ヴァイドヤ」と呼ばれ、インドでは大学や研究施設が多数存在し、国民の8割以上が治療を受けていると言われています

アーユルヴェーダの治療は、ドーシャのバランスをとることが目標ですが、増大したドーシャを抑制するだけではダメで、汚れを洗い落とすように身体の浄化も必要と考えられています

そのため、治療法は鎮静療法と浄化療法の2種類からなります

浄化療法としては、パンチャカルマが有名です

パンチャカルマは、どんな良薬でも体内の通路が閉塞しているとその効果が必要な組織に届かないとの考えに基づき、全ての治療の基本となっています

パンチャカルマは診断の後、前処置(プールヴァカルマ)、中心処置(プラダーナカルマ)、後処置(パスチャートカルマ)という過程で行われます

前処置は、体内の毒素や老廃物を出しやすくするために行います

・消化剤法(アーマパーチャナ):小食にしたり、消化を促すスパイスや薬草を摂取します

・油剤法(スネーハナカルマ):オイルマッサージの他に、薬草入りの精製バターを内服する方法もあります

・発汗法(スウェーダナカルマ):薬草を煎じた蒸気を使ったサウナで、頭部以外を加温し発汗させます

中心処置では、前処置により排出されやすくなった老廃物を外に出します

その方法は5つあり、これがパンチャカルマ=5つの方法という名前の由来です

催吐法(ヴァマナ):口から出す
経鼻法(ナスヤ):鼻から出す
瀉下法(ヴィレチャナ):小腸から出す
浣腸法(バスティ):大腸から出す
瀉血法(ラクタ・モークシャ):皮膚から出す

後処置は健康維持・予防のために行う生活指導や薬草の処方などで、鎮静法、食餌法、強壮法などがあります

これには、体質にあった毎日の過ごし方(ディナチャリヤー)や季節の過ごし方(リツチャリヤー)といった、独特なものもあります

早寝早起きが推奨され、ヴァータの時間帯(午前6時前)に起床し、カパの時間帯(夜10時前)に寝るのが良いとされています

また、日の出の96分前の時間は「宇宙の英知の時の時間」(ブラフマ・ムフールタ)と呼ばれ、この時にヨーガや瞑想を行うとエネルギーに満ちると言われています

季節の過ごし方としては、カパの増えやすい時期(3~6月)はスパイスを取り運動を心がけ、ピッタの増えやすい時期(6~10月)は体を冷まし、ヴァータの増えやすい時期(10~3月)は体を温め潤いを保つようにすると良いと言われます

薬草は食物やスパイスとともに診断によって処方されますが、薬を飲むときに一緒に取る液体が、お湯・ハチミツ・黒砂糖の溶液かによっても効果が変わると考えられていて、これらも細かく指導されます

アーユルヴェーダの臨床的効果としては、クーシャラ・スートラという独自の糸を用いた痔の手術が、西洋医学の外科的手術よりも治療日数が短いという報告があります

また、パンチャカルマによるQOL(生活の質)の向上などが報告されています

日本国内では、浣腸や点眼・点耳などが医療行為となるため、本来のパンチャカルマは実質、医師しか行うことができません

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